富士急ハイランドは「スクラップ・アンド・ビルド」を繰り返しながら進化してきた遊園地です。かつて多くの絶叫ファンを熱狂させながらも、今はもう乗れなくなってしまったコースターたちが存在します。今回はそんな思い出のコースターたちを振り返ってみましょう。
■ ダブルループ(1980年〜2004年頃)
スペック:最大荷重5.6G
1980年登場の、日本で初めて2連続垂直ループを導入したコースターです。当時としては革新的な設計で、連続ループの中間付近では先頭に乗ると凄まじいGがかかることで有名でした。長年にわたって富士急ハイランドの絶叫エリアを支えた存在で、現在「ええじゃないか」が建つエリアに位置していました。2004年頃に解体・撤去され、跡地はええじゃないかの建設に活用されています。ループコースターの歴史に残る先駆的な存在でした。
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【ムーンサルトスクランブル(1983年〜2000年)】
ギネス記録:高さ66m・最高時速105km・最大荷重力6.5G(当時3項目で世界一)
1983年登場の往復式コースターで、「プレッツェルノット」と呼ばれるひねりの加わった2連続ループと逆走が特徴のユニークなコースターです。最大荷重6.5Gという数値は撤去されるその日まで世界記録として保持され続けた伝説の機種です。かつてはスケートリンク「400mオーバルスケートリンク」の中央にそびえ立ち、富士急ハイランドのアイコニックな存在でした。往復式という構造上、乗客のはけが悪く大行列になりがちだったことも懐かしい思い出です。2000年に廃止され、跡地には2001年にドドンパが開業しました。
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【ドドンパ(2001年〜2016年)→ド・ドドンパ(2017年〜2024年)】
スペック(ドドンパ):最高時速172km・発射時間1.8秒・全長1,244m
スペック(ド・ドドンパ):最高時速180km・発射時間1.56秒・ループ直径39.7m
ギネス記録:最速加速(エアーランチ方式で当時世界一)
2001年12月開業。エアーランチ(圧縮空気による射出)方式を採用し、わずか1.8秒で時速172kmに到達するという世界最速の加速でギネス世界記録を獲得しました。「ドドンパ!」というカウントダウンとともに体が吸い込まれるように加速するあの体験は、今でも多くのファンの脳裏に刻まれています。
絶叫評価:⭐9/10(ド・ドドンパ・ドドンパ含む)
ギネス記録となったエアーランチ式の発射による最高加速度は今でも破られていません。ドドンパ時代のエレメントであった急上昇・急降下するタワーは若干首が痛くなった経験がありましたが、ド・ドドンパに進化してからは痛みがなくなり爽快になりました。急加速によるGはとても気持ちよく、多くのコースターファンに惜しまれながら幕を閉じた伝説のコースターです。エレメントが常に1つだったのは少し物足りなさを感じましたが、それを補って余りある加速体験でした。
2016年10月にドドンパは一旦営業終了し、2017年7月に「ド・ドドンパ」として時速180kmにスピードアップ+垂直ループを追加してリニューアルオープン。しかし2020年以降乗客の負傷事故が相次ぎ、2021年8月から運休。2024年3月13日、安全運行を確保する手段の確立が困難との結論から正式に営業終了が発表されました。開業以来930万人が乗車した富士急ハイランドを代表するコースターでした。
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【マッドマウス(1973年〜2019年)】
スペック:全長343m・2人乗り車両
富士急ハイランドの中では比較的コンパクトなマウス系コースターで、1973年登場の長寿コースターです(途中一度移設)。2人乗りの小さな車両で、複雑に入り組んだコースを90度・180度の急ターンを繰り返しながら走行します。4大コースターの陰に隠れた存在でしたが、実は独特の魅力がありました。
コンパクトなスペックに反して、車両が小さいため動きが素早く、カーブのたびに外に吹き飛ばされそうな感覚が楽しめるコースターでした。2人乗りという構造上乗客のはけも悪く、意外と長い待ち時間になることも多かったです。2019年9月30日に営業終了し、跡地は2023年開業のZOKKON建設のために活用されました。
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富士急ハイランドのスクラップ・アンド・ビルドの歴史は、常に「次の世界一」を目指してきた富士急の情熱の証でもあります。過去のコースターたちが今の富士急ハイランドを作り上げてきたといっても過言ではありません。これらのコースターを体験したことがある方にとっては、それぞれが大切な青春の思い出ではないでしょうか。


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