富士急ハイランドと長島スパーランドのコースター建設競争の歴史

ローラーコースター
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「東の富士急、西のナガシマ」という言葉が象徴するように、富士急ハイランドとナガシマスパーランドは長年にわたってライバル関係にある絶叫マシンの二大聖地です。特に1990年代から2000年代にかけて、両園がギネス世界記録を争いながら次々と巨大コースターを建設していた時代は、日本の絶叫マシン史上最も熱い時代でした。今回はその激動の建設競争の歴史を振り返ります。

■ 時代背景

1980年代後半から1990年代にかけて、日本の遊園地業界では絶叫マシンによる集客競争が激化していました。バブル経済の恩恵もあり、各遊園地は競って世界最大級のコースター建設に乗り出していきます。その中心にいたのが富士急ハイランドとナガシマスパーランドの二強でした。

■ 富士急ハイランドのギネス記録コースター変遷

【ジャイアントコースター(1966年〜1996年)】
ギネス記録:コース全長 約1,380m(当時世界一)

富士急ハイランドの原点ともいえる存在で、1966年の開業時から稼働した長寿コースターです。全長約1,380mでギネス世界記録に認定され、富士急の名を全国に轟かせました。初代引田天功の脱出劇の舞台にもなった伝説的なコースターで、1996年にFUJIYAMAと入れ替わる形で30年の歴史に幕を閉じました。

【ムーンサルトスクランブル(1983年〜2000年)】
ギネス記録:高さ66m・最高時速105km・最大荷重力6.5G(当時3項目で世界一)

1983年登場の往復式コースターで、「プレッツェルノット」と呼ばれるひねりを加えた2連続ループと逆走が特徴の個性的なコースター。高さ・速度・荷重の3項目でギネス認定された世界一機でした。最大荷重6.5Gという凄まじいスペックは撤去されるその日まで世界記録として残り続けた伝説のコースターです。2000年に廃止され、跡地には2001年にドドンパが開業しました。

【FUJIYAMA(1996年〜現在)】
ギネス記録:高さ79m・最高時速130km・巻き上げ高さ71.5m・最大落差70m(当時4項目で世界一)

1996年開業。「キング・オブ・コースター」の異名を持つ富士急ハイランドを代表する大型コースターで、4つの世界記録を打ち立てました。宙返りのない王道のキャメルバック型コースターでありながら、その圧倒的なスケールと爽快感は今も色あせません。現在も人気アトラクションとして稼働中です。

【ドドンパ(2001年)→ド・ドドンパ(2017年〜2024年)】
ギネス記録:最速加速(1.8秒で時速172km→リニューアル後1.56秒で時速180km)

2001年開業のエアーランチ式コースターで、当時世界最速の加速をギネス認定。2017年に「ド・ドドンパ」へリニューアルし時速180kmにスピードアップしました。しかし乗客の負傷事故が相次ぎ2021年以降運休、2024年3月に正式に営業終了となりました。

【ええじゃないか(2006年〜現在)】
ギネス記録:総回転数14回転(世界一)

2006年開業の4次元コースターで、座席が前後に回転しながら走行する国内唯一の機種です。総回転数14回転は世界記録として認定されており、現在も富士急ハイランドの看板アトラクションとして君臨しています。

【高飛車(2011年〜現在)】
ギネス記録:最大落下角度121度(世界一)

2011年開業。垂直巻き上げから121度という世界最大角度での落下が最大の売りです。2011年以降現在に至るまで世界記録を保持し続けている現役ギネスコースターです。

■ ナガシマスパーランドのギネス記録コースター変遷

【ホワイトサイクロン(1994年〜2018年)】
スペック:高さ45.5m・最高時速102km・全長1,715m

1994年開業の日本最大木製コースターです。米国産の松材4,800㎥を使用した壮大なスケールで、国内最大の木製コースターとして25年にわたって親しまれました。ギネス記録こそ取得しませんでしたが、その迫力と規模は当時の日本のコースター界に大きなインパクトを与えました。延べ約2,200万人が乗車した伝説の機種です。2019年に白鯨へとリニューアルされました。

【スチールドラゴン2000(2000年〜現在)】
ギネス記録:最高部高度97m・最大落差93.5m・最高速度153km/h・全長2,479m(当時4項目で世界一)

2000年開業。富士急ハイランドがFUJIYAMAで4項目のギネスを取得した4年後、ナガシマスパーランドがこれを大きく上回るスペックで4項目のギネスを獲得しました。現在も全長2,479mの世界最長記録は保持し続けており、まさにナガシマの至宝といえる存在です。

■ 両園のギネス競争まとめ

| 年 | 富士急ハイランド | ナガシマスパーランド |
|—|—|—|
| 1966年 | ジャイアントコースター(全長世界一) | — |
| 1983年 | ムーンサルトスクランブル(高さ・速度・荷重 3項目世界一) | — |
| 1994年 | — | ホワイトサイクロン(日本最大木製) |
| 1996年 | FUJIYAMA(4項目世界一) | — |
| 2000年 | — | スチールドラゴン2000(4項目世界一) |
| 2001年 | ドドンパ(加速 世界一) | — |
| 2006年 | ええじゃないか(総回転 世界一) | — |
| 2011年 | 高飛車(落下角度 世界一) | — |

■ 競争の結末と現在

1990〜2000年代の激烈なギネス争いを経て、両園はそれぞれ異なる方向性での進化を遂げています。富士急ハイランドは2023年にZOKKONを開業させ、新たな時代のコースターを導入。ナガシマスパーランドはホワイトサイクロンを国内初のハイブリッドコースター「白鯨(HAKUGEI)」にリニューアルし、スチールドラゴン2000も車両を更新して今なお世界最長を誇っています。

あの頃の「どちらが世界一か」を競い合う熱狂は、日本の絶叫マシン文化の礎を築いたといっても過言ではありません。

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